20数年間働いていた労働者に年次有給休暇をあることを知らせずに働かせていました。年次有給休暇を使えることを知った労働者(63歳)は、会社に要求書を作成し提出しました。
ところが会社はこれに腹をたて、60歳が過ぎたのでと賃金を10万円以上も減額になる提案を行い、今年7月から強行されていました。
交運労は、平成18年9月3日第20回執行委員会で「雇用安定法」が06年4月から実施されたが「法」は賃金を引下げてはダメだとかまで法律になっていない。しかし、会社側の一方的引き下げが強行されれば労働者の生活はなりたたない。同類の案件は、国会でも問題になり日本共産党が政府を追求していた問題でもある。
相談労働者を中部地区個人分会に加入させ一方的賃金減額などを許さない闘いを組むことを全員一致で合意しました。
翌日、4日今井製本株式会社に本部執行委員長・書記長・書記次長と当該労働者で結成通知・要求書などを会社に提出しました。
その席で会社は、労働組合結成にびっくりしてか、「こんなことをする労働者はいらない。明日から来なくて良い」などと強硬な姿勢で対応されました。本部役員は会社をなだめるのに必死でした。第一回目の団体交渉を11日と約束させました。
第一回目の団体交渉では、分会長も出席したが会社に要求の説明を行うことで精一杯でした。会社の対応は、社長婦人も出席し大混乱となりました。
ところが、12日会社から組合に電話があり、「労働組合は家では始めての事であり、どう対応していいのかわからなかった。すみませんでした。」と謝罪したうえで、「社会保険労務士と協議会に組合との話をしたところ、それはまずい。賃金減額もやっちゃだめだ。就業規則も組合から指摘されたとおりに通用しない。」と指導された。「従ってさかのぼり全額支給します。」と約束しました。「18年間の年次有給休暇分についても解決金という形で支給していきたい。」「その他の要求についても、前向きに検討してまいりたい。交運労は中小企業方針を持ち合わせているということで安心した。今後の労使関係をよろしくお願いしたい。」と急変回答をしてきました。
本部は、直ちに本人に知らせたところ、「労働組合は皆、適当にやると思っていたが『交運労』だけは違っていた。俺が、その都度方針を求められ、悩んだりもしたが、おれが進みたいようにみんなが支援してくれ、行動をともにとってくれた。その成果だと思う。いままで労働組合とは無縁だったがもっと早く、交運労のような組織と知合っていればよかった」と喜んでいました。
今後は、全労働者に組合を支持されるように勤め、必ず組合員を増やし、零細企業を守りたい。そして、労働者の権利や生活を守って生きたいとの談話を発表しました。
正式には、18日祭日に行われる団体交渉で合意される運びとなりました。ところが残りの案件中2件が解決しただけで、全面的解決には至りませんでした。残りの案件は、時間をあけて、10月20日に第3回目の団体交渉を行うと約束していました。
その10月20日団体交渉は、急変して会社は誰かの知恵を得たようで、同意約款(賃金・身分・労働条件・・・事前に協議し・・双方同意の上実施する。)を締結済みの問題をむしかえし、抵抗し、団交の振り出しに戻し、弁護士を依頼したなどと強硬姿勢に転じました。
その弁護士先生との団体交渉が10月27日に弁護士事務所で行われました。しかし、交運労の道理ある説明と説得で、弁護士先生も会社側を説得してくれて、別紙の協定書が締結されました。
「高年齢者雇用安定法」が施行されて、満額、しかも月額37万円の安定賃金をとりあえず復活獲得したのも、また、一方的賃下げを許さない協定をさせた案件も、おそらく、「交運労」が初ではないでしょうか。画期的な成果だと思います。
今回の成果は、交運労本部の指導を組合員が立ち回り、動いてくれたことが勝利に結びついたものであります。そして何より、その組合員が嫌気をすることなく、頑張った成果でもあります。
何か教訓になればとの思いでホームページに公開しました。
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